二日目 闇から出現! 夜道怪

 

 やぁ、人間の皆さん。“ゲゲゲの鬼太郎”です。
 最近、暑いですね~。僕にとって、この時期は“家ゴロシーズン到来”って感じですよ!!
 えっ? “家ゴロシーズン”って何かって、それは…。
 突然ですが、皆さんは「一つだけ願いを叶えてあげましょう」と言われたら、何をお願いしますか?

 でも、気をつけてくださいよ、相手が妖怪だったら大変な事に…。

 

*

 

―雨の日の夏休み―
亮太:「よかった~。今日は、プールで泳がなくていいや。」
 と、窓の外からブキミな声が…。
夜道怪:「おい、坊や。そのお菓子を分けてくれんか?」
亮太:「いいけど…。」
夜道怪:「そーか、ありがとう。じゃあ、この窓開けてくれ。」
 亮太が恐る恐る、窓を開けると…。
夜道怪:「こんにちは。坊や。」
亮太:「うわぁ~~~~~!!」
夜道怪;「そんなに驚くことはない。わしの名は“夜道怪”。お腹が減っただけじゃ。」
亮太:「ホント~?」
夜道怪:「あぁ、本当さ。さぁ、お菓子をくれ。」
亮太:「はい。」
 夜道怪はお菓子を受け取ると、バリバリとおいしそうな音を立てながら、あっという間にたいらげた。
夜道怪;「実においしかった。満腹じゃ!!」
亮太:「よかった~。僕も嬉しいよ。」
夜道怪;「では、お菓子を分けてくれたお礼に、坊やの願いを一つだけ叶えてあげよう。」
亮太:「ホント!!じゃあ…。今度、学校である水泳大会で一位になりたい!!」
夜道怪;「わかった。では、今日の夜から水泳大会に向けて作戦を開始する。」
亮太:「作戦って何?しかも、今日は木曜日で、大会は日曜日だよ…。」
 夜になると、夜道怪は作戦を開始した…。
 夜道怪は水泳部員を見つけると、いきなり部員に襲いかかり、闇の中へと消し去ったのである。
 そう、夜道怪のいう「作戦」とは、水泳大会前日までに亮太以外の全ての部員を襲って、大会で亮太を一位にしよう、というものである。

 

―次の日―
 鬼太郎の家には、昼間から賑やかな声が聞こえていた…。
ネコ娘:「鬼・太・郎♡」
ねずみ男:「気持ちワリー言い方すんなよ。」
ネコ娘:「アンタに気持ち悪いなんて言われたくないわよ!!」
ねずみ男:「ちょ、ちょっと待てよ…あ~~!!」
鬼太郎:「なんだい、ネコ娘?」
 鬼太郎はネコ娘の姿を見て、目を疑った…。
鬼太郎:「え~!!ど、どうしたの、その格好…?(驚)」
ネコ娘:「実は、一ヶ月前から体育の先生をバイトでやってるの。」
鬼太郎:「ふ~ん。それで、なんで水着なんか…?」
ネコ娘:「午前中に今度の日曜日にある、水泳大会の練習をしていたの。鬼太郎も当日は、もちろん、見に来るでしょ?」
鬼太郎:「行かないよ~。暑いから、家でゴロゴロしてた方が楽しいよ。」
ネコ娘:「そう。残念だわ…。それで、最近、練習に来る生徒が減ってきたの。これって、妖怪の仕業?」
目玉おやじ:「妖怪じゃと?」
ねずみ男:「考えすぎなんだよ、ネコ娘は。」
ネコ娘:「そうかしら…。」

 

―水泳大会前日―
 亮太は明日の水泳大会に備え、テレビを見て体を休めていた…。
アナウンサー:「次のニュースです。連日お伝えしていますが“水泳部員行方不明事件”の速報です。」
亮太:「何、このニュース…?」
アナウンサー:「行方不明者が15人、残る部員は、あと5人となってしまいまた。犯人は“明日の朝までに、部員全員を襲う”と警告しています。」
 とっさに、「夜道怪の仕業だ!!」と判断した亮太は、すぐに夜道怪のところへ駆け込んで、こう言った…。
亮太:「夜道怪、もう、みんなを襲うのはやめてくれ!!」
夜道怪:「なぜだ…“水泳大会で一位になりたい!! ”と言ったのは、坊やだろ?」
亮太:「そりゃ、そうだけど…でも、これ以上、みんなを傷つけたくないんだ!!」
夜道怪:「わかった。そこまで言うなら…。」
 このやり取りを聞いていたネコ娘は、危険を感じて鬼太郎に電話をした…。
ネコ娘:「鬼太郎、助けて!!亮太君が妖怪に…。」
目玉おやじ:「やはり、妖怪の仕業じゃったな。」
鬼太郎:「わかった。すぐ行くから、待ってて。一反もめん、学校までひとっ飛びだ!!」
一反もめん:「猛スピードで行くばい!!」
 鬼太郎は一反もめんに乗り、ネコ娘のもとへ…。
夜道怪:「そこまで言うなら…坊やも闇の世界へ!! “闇の中へ(ダーク・イン)”」
ネコ娘:「亮太君、危ない!!」
夜道怪:「ふんっ、邪魔者が…くらえ“闇の中へ(ダーク・イン)”」
ネコ娘:「キャー!!鬼太郎、助けて!!」
鬼太郎:「ネコ娘、大丈夫か?間に合ってよかった~。」
夜道怪:「出たな、鬼太郎!わしの邪魔をするな!!」
鬼太郎:「勝負だ! 夜道怪!!」
夜道怪:「臨むところじゃ!!」
 いよいよ、鬼太郎と夜道怪の白熱したバトルが幕を開けた!!
鬼太郎:「“髪の毛針”」
夜道怪:「おっと、なかなかやるねぇ~。“闇の中へ(ダーク・イン)”」
鬼太郎:「しまった! “霊毛チャンチャンコ”」
ネコ娘:「鬼太郎―!!今よ、つるべ火、鬼太郎を援護するの!!」
つるべ火:「待ってました!!」
夜道怪:「うぅ~、まぶしい。わしは、明るいのが苦手じゃ。」
鬼太郎:「ねずみ男、あとは頼んだ…。」
ねずみ男:「まかしとけ、鬼太郎!いつもの恩返しだ!!」
ネコ娘:「ねずみ男、アンタ…。」
ねずみ男:「“究極奥義・ねずみ男砲(オレ様のオナラ)”」
夜道怪:「なんだ、この臭さは…たまらん。」
ネコ娘:「臭いニャン…。」
 夜道怪があまりの臭さに気絶したため、鬼太郎と水泳部員たちは、闇の中へ(ダーク・イン)から抜け出すことができた。
 やがて、夜道怪は目を覚まし、二度と人間を襲わないことを約束して、別れたのだった…。
鬼太郎:「亮太君 “願いは自分で努力して、叶えるもの”なんだ。だから、妖怪なんかに頼んじゃダメだよ。」
亮太:「うん。鬼太郎さん、ありがとう。」
ネコ娘:「今回だけは見直したわ、ねずみ男。」
ねずみ男:「今回だけはって…。」

 

―水泳大会当日―
 水泳大会は多いに盛り上がりを見せた。
 亮太は鬼太郎の言葉のおかげか、順調に勝ち進み、ついに決勝へ!!

 果たして、優勝は誰の手に…。
ネコ娘(実況):「さぁ、決勝戦がスタートしました。おっと、3コースの川島君、一歩リード!!…あっ!今、折り返しました。ラスト50m!」
 川島はターンを失敗し、残るは、亮太と北島の一騎打ちに!!
ネコ娘(実況):「亮太君、頭一つリード!…そして、そのままゴ~ル!! 優勝は亮太君、見事な泳ぎでした!!」
 親友の北島は、亮太の優勝を称えに…。
北島:「おめでとう、亮太。」
亮太:「ありがとう!!」
北島:「まさか、あの“ビリ亮太”に負けるとは…(笑)」
 こうして、水泳大会は亮太の大勝利で幕を閉じた…。
夜道怪:「そういえば、今年は“五輪年(オリンピックイヤー)”じゃったな」

 

~おしまい~

スマホからこんにちは!

荒木テルと申します。小説家志望の29歳です。

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